高齢者の夏バテ対策では、食べやすく消化のよい料理でエネルギーとたんぱく質を補い、水分も少しずつ取ることが大切です。冷たい麺だけで済ませず、卵、魚、肉、豆腐、乳製品などを組み合わせると、食事の栄養が偏りにくくなります。
ただし、ぼんやりする、まっすぐ歩けない、吐いて水分が取れない、体が熱いなどの症状がある場合は、単なる夏バテではなく熱中症の可能性があります。食べ物で様子を見ず、周囲の人に知らせて医療機関への相談や救急要請を検討してください。
高齢者の夏バテに取り入れたい食べ物
食欲が落ちているときは、1回の量を減らし、次の食品を少量ずつ組み合わせるのがおすすめです。食べる力や飲み込む力に合わせて、やわらかく調理してください。
| 食品の種類 | 具体例 | 取り入れ方 |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 卵、魚、鶏肉、豆腐、納豆、ヨーグルト | 卵とじ、冷ややっこ、魚の煮付け、ヨーグルトなどにする |
| エネルギー源 | ご飯、うどん、パン、いも類 | おかゆ、やわらかいうどん、雑炊など、食べやすい形にする |
| ビタミンやミネラルを含む食品 | 夏野菜、果物、海藻 | トマト、なす、かぼちゃ、スイカなどを少量ずつ食事に加える |
| 水分の多い料理 | みそ汁、スープ、煮物、茶わん蒸し | 食事と一緒に取り、水分と栄養を同時に補う |
卵・魚・豆腐などのたんぱく質
食欲が少ないときほど、食事量だけでなく、たんぱく質を取れているかを意識します。卵、豆腐、白身魚、鶏ひき肉、納豆などは、比較的やわらかく調理しやすい食品です。
たとえば、卵とじ、茶わん蒸し、豆腐のあんかけ、白身魚の煮付け、鶏肉入りの雑炊にすると、主食とたんぱく質を一緒に食べられます。噛む力や飲み込む力が低下している場合は、むせにくい形状かを確認してください。
ご飯・うどん・おかゆなどの主食
主食は体を動かすエネルギーになります。食欲がないからと主食をまったく取らず、野菜や果物だけにすると、必要なエネルギーが不足することがあります。
通常のご飯が食べにくいときは、おかゆ、雑炊、やわらかいうどんなどに変えます。ただし、麺だけではたんぱく質が不足しやすいため、卵、鶏肉、豆腐、魚などを加えるとよいでしょう。
夏野菜や果物
トマト、きゅうり、なす、かぼちゃなどの野菜や、スイカ、桃、バナナなどの果物は、食欲が落ちたときにも取り入れやすい食品です。野菜や果物だけで食事を終わらせず、主食やたんぱく質の食品も組み合わせてください。
果物やスイカは水分を含みますが、飲み物の代わりになるとは限りません。また、糖尿病などで食事指導を受けている場合は、量や食べる回数を主治医や管理栄養士に確認します。
水分は食事と別に、少しずつ取る
高齢者は、のどの渇きを感じにくかったり、トイレを気にして水分を控えたりすることがあります。のどが渇いていなくても、起床時、食事のとき、入浴の前後、外出前後などに、少量ずつ水分を取る習慣を作ります。
水や麦茶などのほか、食事からもみそ汁、スープ、煮物、果物などで水分を補えます。汗をたくさんかいた場合は、状況に応じて電解質を含む飲料が使われることもありますが、糖分や塩分の取りすぎには注意が必要です。
心臓病や腎臓病などで水分・塩分の制限がある人は、自己判断で水分量や経口補水液を増やさないでください。主治医から指示された量や飲み物を優先します。
食欲がないときの食べ方
一度にたくさん食べられない場合は、無理に1日3食を同じ量にそろえる必要はありません。少量の食事や間食に分け、食べられる時間帯に栄養を補います。
- 主食を少量用意する。おかゆ、雑炊、やわらかいご飯、うどんなどから選びます。
- たんぱく質を1品加える。卵、豆腐、魚、鶏肉、納豆、ヨーグルトなどを組み合わせます。
- 野菜や果物を少量添える。食べやすい大きさややわらかさにします。
- 食事の合間にも水分を取る。一度に大量ではなく、飲める量を複数回に分けます。
- 食べた量と体調を確認する。食事や水分がほとんど取れない状態が続く場合は、家族や医療機関に相談します。
夏バテ対策の食事で注意したいこと
冷たい麺や飲み物だけに偏らせない
冷たいそうめんやうどんは食べやすい一方、具が少ないとエネルギーやたんぱく質が不足しやすくなります。卵、ツナ、鶏肉、豆腐などを添え、可能なら野菜も加えます。
冷たい飲み物を一度に多く飲むと、胃腸の不調につながる人もいます。飲んで腹痛や下痢が起きる場合は、冷たすぎない飲み物を少量ずつ試してください。
塩分の取りすぎに気をつける
汗をかいたときでも、誰にでも塩分の多い食品や飲料が必要とは限りません。梅干し、漬物、インスタント食品、濃い味の汁物を重ねると、塩分が多くなることがあります。
高血圧、心臓病、腎臓病などがある場合は、塩分を補う前に、普段の食事や主治医の指示を確認します。
食中毒を防ぐ
夏場は、作った料理を室温に長時間置かないことが大切です。調理後は早めに食べ、保存する場合は冷蔵庫に入れます。高齢者は食中毒が重症化することもあるため、においや見た目に異常がなくても、長時間放置した食品は食べないようにします。
食べられないときや熱中症が疑われるとき
食欲不振が数日続く、体重が減っている、尿の量が少ない、下痢や嘔吐がある場合は、夏バテと決めつけず医療機関に相談してください。薬の影響や感染症など、別の原因が隠れていることもあります。
意識がぼんやりしている、呼びかけへの反応が悪い、けいれんがある、自力で水分を飲めない場合は、口から無理に飲ませず、すぐに救急要請を検討します。食事よりも、涼しい場所へ移すことと医療的な対応が優先です。
高齢者の夏バテ対策で最初に意識したいのは、主食・たんぱく質・野菜や果物を少量ずつ組み合わせ、水分をこまめに取ることです。持病による水分・塩分制限、飲み込む力、食べられている量を確認し、食事が続けて取れないときは早めに主治医へ相談してください。







